記憶

相原駅・造形大学の美術館で開催されている、「めからとく」展に行きました。
赤松ネロさんという作家さんの作品が印象に残っています。

真っ白い人型の風船が大学の校舎から次々と落とされていきます。落ちていく人形とそれを見ている学生達がテレビで流されています。

ビルの窓から次々と落下する人形からは、2001年9・11のニューヨークの事件を思い出しました。この事件の時に家のテレビで見ていた、人々が落下する様子を眺めている人々と落下する人間の姿のように思いました。

私は、人間が空中を舞う姿を目の当りにしたことはありません。テレビのニュースで眼にすることはあるだけです。
シャガールは幼少時代に、母が馬車に轢かれ、高く、遠くに跳ね飛ばされた姿を目の当りにしたと言います。この印象があまりにも強く、作品の中に、空中を舞う人間を数多く描くようになったと聞きます。
それぞれの記憶によって、この作品が観た人に与える印象は違うのではないかと思いました。
ただ、現実の世界で、人はそのままでは空を飛べません。人がそのままの形で空中に投げ出せれた場合、ただ落下するしかありません。その無力さを思い出し、人間は地球にある一つのものでしかと感じました。